
本レビューは、KEEPHIFI(@hulang9078)様より提供いただいたサンプルに基づく実機レビューです。提供元の依頼内容とブランド公称に配慮しつつ、実機から得た使用感を率直に記載します。
KEEPHIFIは、人気オーディオブランドのイヤホン・ケーブル・アクセサリを扱う専門ストアで、「Spend Less, Enjoy Hi-Fi(手頃に、Hi-Fiを楽しむ)」を掲げ、入門〜中価格帯を中心に幅広い製品を展開。定番から新興ブランドまで取り扱いが広く、リリース初期から国内向けの情報発信が早い点も特徴です。
最新の販売チャネルやブランド情報は、以下から確認できます(キャンペーン・新入荷の告知も集約)。
TRI は、中国・深セン発のオーディオブランド KBEAR 系列のサブブランドで、中〜上位帯を担うラインとして位置付けられている。
KBEAR本体が培ってきたハウジング設計やドライバー開発のノウハウを共有しつつ、TRIでは平面磁界型ドライバーや複合構成など、ややマニア寄りの挑戦的なチューニングを積極的に展開。
ドライバー構成はハイブリッド/マルチBA/平面×ダイナミックなど多彩で、音場表現や分離感にフォーカスしたモデルが多い。
KBEARブランドが「コストパフォーマンスと扱いやすさ」を広く担う一方、TRIは「一歩踏み込んだ音作りと質感」を求めるユーザー向けのポジションという印象だ。
まずは開封ショートで、外箱・付属品・アルミシェルの仕上げ、そして4.4mmバランス仕様の雰囲気をざっと眺めてもらえればと思います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | TRI / KBEAR |
| 製品名 / 型番 | KongTong I2 |
| ドライバー | 12mm平面磁界ドライバー(ポリマー複合超薄膜ダイアフラム/精密エッチング導体パターン) |
| 感度 | 100 dB ±3 dB / mW(1 kHz) |
| インピーダンス | 16 Ω |
| 周波数帯域 | 20Hz–20kHz |
| ピン規格 | 0.78 mm 2-pin(フラットマウント) |
| 付属ケーブル | 5N OFC銀メッキ・2芯ケーブル/4.4mmバランス/ケーブル長 約1.25 m |
| プラグ | 4.4 mm バランス |
| ケーブル長 | 約125 cm(公称) |
| カラー | Silver / Black(写真アセット準拠。販路により取扱カラーは要確認) |
注:表記はメーカー公称+提供アセットに基づく。実際の取り扱いカラーやバリアントは販売ページを要確認。




















本体(左右)— 0.78mm 2Pin コネクタ部

KongTong I2:12mmシングル平面磁界ドライバーIEM

主な特徴:12mm平面磁界/ポリマー複合薄膜/精密エッチング導体パターン/アルミ合金筐体

KongTong I2 キービジュアル

航空機グレードアルミ×CNC加工筐体

ダイヤカット加工フェイスの外観イメージ

12mm平面磁界ドライバー:構造イメージ

ポリマー複合の超薄膜ダイアフラム:構造イメージ(公式)

精密エッチング導体パターン:構造イメージ(公式)

12mm平面磁界ドライバー:広い音場と高い分離の訴求

筐体素材×設計の相乗効果:耐久性と音響特性の訴求

装着性:片側約4g/耳掛け型ケーブル

付属ケーブル:5N銀メッキOFC/4.4mmプラグ/0.78mm 2Pin

主なスペック:感度100dB±3dB/mW@1kHz/16Ω/20–20kHz/12mm平面磁界/4.4mm/1.25m
🎶 音質レビュー
💡 12mmシングル平面磁界ドライバーらしい俊敏な立ち上がりとクリーンな減衰で、中低域に“芯”を置きつつ、自然なボーカルと透明感のある高域、広めの音場を両立するチューニング。


FRはあくまで手がかりとして眺めると、KongTong I2 は低域で量感を確保しつつ、200〜500Hzを膨らませないことで濁りを避け、ボーカル帯域をきれいに立てる設計に見える。20〜100Hzで土台を作り、戻りを速めてテンポ感を守る。そこへ1〜3kHzを持ち上げて主旋律を前へ引き寄せ、上は6〜7kHzで当たりの硬さを逃がしつつ9〜10kHzで抜けと空気感を取りに行く。平面型の解像と分離を土台にしながら、刺激で勝負せず、整合感と見通しを主役に据えたチューニングだ。
実際に聴き込むと、この読みはかなり素直に当たってくる。全体は弱ドンシャリ寄りだが、いちばん印象に残るのはボーカルへのフォーカスの良さ。平面駆動らしく歪み感が薄く、音の繋がりも自然で、定位も変に誇張されない。音場はむやみに広げる方向ではないが、縦横のバランスがちょうどよく、毎日のリスニングで扱いやすいオールラウンダー感が出ている。
KongTong I2 の低域は、量で押し潰すのではなく「形を崩さずに置く」タイプだ。キックの輪郭が丸くなりにくく、ベースラインも芯を残したまま前に出る。公式の Bass More solid という言葉は、厚く盛るより先に土台を整えて安定させる方向として腑に落ちる。
低域が鳴っても中域へ染み出しにくく、ボーカルの足元を曇らせないのが気持ちいい。余韻は必要十分で、伸ばして迫力を作るより、アタックと戻りでノリを作る。タム回しやシンセベースも膨らみを引きずらず、形が素直に変わっていく。ロックやEDMでも派手な圧で殴るというより、グルーヴの押し出しを作りやすい低域だ。
ここは駆動条件の影響が分かりやすい。4.4mmでヘッドルームが確保できると、沈み込みと余韻のバランスが整い、低域が空間の土台として機能する。逆に敢えて3.5mm側のリケーブルで同ボリューム比較すると、空間が縮み、余韻不足がはっきり出て、籠り傾向も見えた。便利さより再現性を優先して4.4mm前提にしている設計思想が、低域の出方からも伝わってくる。
🥁 一言:厚く盛らず、土台を固める低域。
・Billie Eilish - bad guy:キックの輪郭が丸まらず、低域の“形”が崩れないか/戻りの速さ
・Daft Punk - Lose Yourself to Dance:ベースラインの芯とグルーヴの押し出し、膨らまずに前へ出るか
・米津玄師 - KICK BACK:低域が派手に暴れず、上物とボーカルの見通しを保てるか
中域は、声を無理に近づけずに主役として立たせる。輪郭ははっきりしているのに押し付けがましくなく、芯は見えるのに喉元だけを強調して刺しにいかない。公式の Mids More natural は、濃く塗るのではなく、距離感と形を整えて自然に聴こえる位置へ置くという方向性の言葉としてしっくりくる。
リード楽器も同様で、ギターのカッティングやピアノのコードは粒立ちが整って崩れにくい。単一ドライバーらしく帯域の段差感が薄く、和音がひとつの塊としてまとまる。No crossovers, unified sound という言い方の説得力が出るのは、まさにこの中域のまとまり方だと思う。
男性ボーカルは胸声が過度に膨らまず、低域の押し出しに埋もれにくい。女性ボーカルも輪郭が立ちながらサ行だけが前へ飛び出しにくく、自然な抜け方に寄る。弱ドンシャリなのにボーカルフォーカスが強いのは、この中域の置き方が効いている。
・宇多田ヒカル - One Last Kiss:ボーカルの芯、距離感の自然さ、サ行の刺さりに寄りすぎないか
・King Gnu - 白日:男性Voの胸声が膨れすぎず、低域に埋もれないか/主旋律の輪郭
・Norah Jones - Don’t Know Why:声の質感の自然さ、和音が“ひとつの塊”としてまとまるか
高域は、エッジで刺して目立たせるより、抜けと透明感で上へ伸ばすタイプだ。シンバルは鋭さだけで勝負せず、余韻まで含めて整って聴こえる。ハイハットも尖らせるというより粒が揃い、鳴り終わりがきれい。公式の Highs More transparent は、派手な煌めきというより白く濁らない抜け方を狙った言葉として受け取れる。
この帯域は、輪郭を細くして情報量を誇示する方向ではない。必要なところは立つのに過度な刺激が少ないので、曲によっては明るいより先に見通しがいいと感じやすい。イヤーピースで反応が分かりやすいのも特徴で、標準は高域の抜けが良く、Clarionは中低域が安定して全体の重心が落ち着く傾向が出た。高域が暴れてキャラが崩れるのではなく、整合感を保ったまま微調整が効くイメージだ。
・Dave Brubeck - Take Five:ライドシンバルの粒立ち、エッジが痛くならず余韻まで整うか
・YOASOBI - アイドル:上の帯域の抜けときらめき、情報量が増えても白く濁らないか
・The Weeknd - Blinding Lights:ハイハットの刻みが尖りすぎず、抜けとして上に伸びるか
音場は、誇張で大きく見せるというより、配置が素直で見通しが良い方向に寄っている。左右の端はスッと伸び、奥行きも無理なく出るが、極端に広いというより縦横のバランスがちょうどいい。定位は輪郭がはっきりしていて、パン振りの追いかけが楽になる。ボーカルのセンター像がぶれにくく、左右に広がる上物が乗っても中心が抜け落ちない。広げるのではなく整えて広く見せる、というタイプだ。
AB比較をすると傾向がより分かりやすい。TRI TK1は高域が伸びやかで、はきはきしたバランスになりやすい。FiiO K17はニュートラル寄りになって空間がさらに開き、I2の整合感と見通しの良さが素直に伸びる。I2側が無理に音場を盛らないぶん、上流の実力差がそのまま空間表現として出てくる。
・Pink Floyd - Money:パン振りの追いかけやすさ、定位が素直で中心像が抜け落ちないか
・Yosi Horikawa - Bubbles:左右だけでなく前後の配置、音が“置かれる”感覚が出るか
・久石譲 - Summer:弦の広がりと奥行き、音像が散らばらずにまとまったまま展開するか
解像は、尖らせて細部を誇示するのではなく、音像を整えて情報を見せる方向だ。要素が増えても質感が急に変わりにくく、同じテクスチャのまま層が積み上がる。分離も一音一音を切り刻むより、重なったままでも輪郭が混ざり切らないタイプで、単一ドライバーの統一感がそのまま効いている。平面駆動らしく歪み感が少ないぶん、派手な強調がなくても素直に聴き込める。
ダイナミクスはドカンと押すマクロより、抑揚の細かさや余韻の動きが心地よい方向。強い誇張がないぶんジャンルを選びにくく、毎日のリスニングに向いた性格にまとまっている。刺激で惹きつけるのではなく、整合感と見通しの良さで没入させる。公式の unified や transparent という言葉が、実感としてついてくるタイプの音だ。
・Snarky Puppy - Lingus:楽器数が増えても団子にならず、層として残るか(切り刻まず整って見えるか)
・Radiohead - Everything In Its Right Place:重なりの中でも輪郭が混ざり切らないか、空間の見通し
・Aimer - 残響散歌:ボーカルと上物の同居、抑揚の細かさと余韻の動きが素直に出るか
KongTong I2 は、平面駆動らしい素直さとボーカルのフォーカスが軸にありつつ、上流と接続条件で「空間の伸び」「余韻の残り方」「高域の抜け」が分かりやすく動くタイプだった。ここでは同一曲を基準に、A/Bは4.4mmバランス、Cは敢えて3.5mmで揃えて、変化の方向性を確認したメモをまとめる。
🅰 A:TRI TK1(4.4mm BAL)

TRI TK1(4.4mm BAL)。伸びやかでハキハキしたバランスに寄る。
音の立ち上がりが軽快で、高域の抜けが気持ちよく出る。シンバルやハイハットは輪郭が整い、空気感も素直に上へ伸びる方向。ボーカルは輪郭がくっきりして言葉が追いやすく、弱ドンシャリの気持ちよさがストレートに出やすい。I2の「歪み感の少ない素直な出音」を活かしつつ、少しだけ表情を明るくしてくれる印象で、ポップスやロック、女性ボーカル中心の曲で分かりやすい相性だった。
🅱 B:FiiO K17(4.4mm BAL)

FiiO K17(4.4mm BAL)。ニュートラル寄りで、空間と余韻が素直に広がる。
K17はニュートラル方向にまとめつつ、駆動の余裕で空間と余韻を丁寧に伸ばしてくる。輪郭を誇張しないのに、定位がぼやけない。ステージが横に広がるだけでなく、奥行きの層が自然に増えていく。I2の長所である繋がりの良さと整合感が素直に立ち上がり、情報量が増えても音場が詰まりにくい。TK1が明瞭さと勢いなら、K17は完成度で押し広げるタイプで、残響のある曲ほど気持ちよさが出る。
🅲 C:3.5mmリケーブル(NICEHCK NEW GARDEN)

3.5mmリケーブル(NICEHCK NEW GARDEN)。同ボリューム比較で、空間と余韻の差が出やすかった。
あえて3.5mmへ振って同ボリュームで比べると、空間の縮小が分かりやすく出た。余韻が短く、奥行きの気配が薄くなり、全体がやや籠り傾向に寄りやすい。I2の魅力である「見通しのよさ」や「自然な繋がり」は残るものの、息遣いの伸びや残響の広がりが頭打ちになり、ヘッドルーム不足を体感しやすい印象だった。便利さとしての選択肢はあるが、I2の設計思想を素直に引き出すなら、4.4mmバランス前提の組み合わせがしっくりくる。


まとめると、KongTong I2 は上流差が出やすく、4.4mm環境で余裕を確保したときに、空間表現と余韻の伸びが気持ちよく立ち上がる。4.4mm固定は「最近主流だから」というより、この鳴り方で聴いてほしいという意思表示として納得できる仕様だった。
KongTong I2 は、12mmのシングル平面磁界ドライバーを核にしながら、「単一ドライバーで統一感を作り切る」ことに徹底したIEMだと思う。ポリマー複合の薄膜ダイアフラムや精密エッチング導体パターン、アルミ合金のCNCシェルといった要素は、単なるスペックの盛り付けではなく、広い音場とクリアさ、そして崩れない整合感を成立させるための選択として筋が通っている。公式が掲げる “no crossovers / unified sound” も、キャッチコピーというより設計思想そのものだと腑に落ちる。
音の方向性は、派手なドンシャリで即効性の気持ちよさを狙うより、低域の土台を固めて見通しを上げ、ボーカルの芯を自然に立て、高域は刺さりではなく透明感で抜けを作る——そんな組み立てに寄っている。僕の感覚で言うと、低域は「厚い」というより「形が崩れない」。中域は「近い」というより「主役がぶれない」。高域は「鋭い」というより「白く濁らずに抜ける」。この3点が揃うことで、音場の広さが“ただ広い”で終わらず、整理された空間として成立する。FRの見え方と公式の語り口が、同じ方向を指しているのが強い。
平面型らしい俊敏さや分離はもちろん土台にあるけれど、KongTong I2 はそこをギラついた輪郭のアピールに使うタイプではない。瞬発力は音像のまとまりとレイヤリングに回されていて、情報量の多い曲でも団子になりにくい。解像を誇示して切り刻むというより、音のテクスチャが揃っていて“混んでも崩れにくい”という印象だ。横だけでなく前後の奥行きも自然に出て、音が配置されていく感覚が作れる。公式の「A Vast Soundstage…」という言葉も、狙いとして納得しやすい。
そして、この機種のこだわりがいちばん分かりやすく表れるのが、4.4mmバランス前提の構成だ。環境によっては選択が分かれる仕様だと思うが、KongTong I2 のチューニングは、低域のソリッドさや高域の透明感、空間の見通しの良さを土台にしているぶん、駆動条件が整ったときの気持ちよさが素直に伸びる。最初から4.4mmを付けてくるのは、“最近はバランスが主流だから”というだけではなく、「この鳴り方で聴いてほしい」という意志を仕様として明確に示しているからだと感じた。便利さより再現性を優先して、ユーザーに“正しい入口”を渡している。そこは素直に褒めたいポイントだ。
結論として、KongTong I2 は「派手さで一発殴る」平面型ではなく、「単一平面で整えて、広く、見通しよく聴かせる」タイプの一本だ。低域は固く、ボーカルは自然に立ち、高域は透明に抜ける。その積み重ねとして空間が広がる。刺激ではなく、整合感と空間の気持ちよさで平面型を味わいたい人に刺さるIEMで、4.4mmバランス固定という割り切りも含めて、“音へのこだわりが仕様にまで滲んでいる”プロダクトだと思う。
平面型IEMに興味がありつつも、「多ドラ構成や複雑なクロスオーバーより、シンプルなシングル構成で広さと分離を取りたい」というユーザーにとって、KongTong I2 はちょうど良い立ち位置の候補になりそうだ。
TRI KongTong I2(12mm平面磁界ドライバー/4.4mmバランス)
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